2011年08月03日

忘れられない〔6〕


いつもおしゃれできれいでしっかり者の母が、この頃ちょっとおかしな行動をとるようになって……。
とても心配しているんです。

母は満州で娘時代をすごし、日本が戦争に負けて引き上げてくるときの話を私によくしてくれました。
私は何度かその話を聞かされていましたが
若い頃はただ(大変だったんだね〜)と思って聞いていました。
今、母に介護度がついて改めて思うことは
本当に(母がいるから私がいる……)ということです。
母は……
母は満州から引き上げる時、自慢の黒髪をバッサリ切って
娘の格好からボロボロの男の服に着替え
見ただけでは「女」とわからないようにして
荷物も持たずに日本に逃げ帰って来たんです。
母は直接戦争には関係なく、家族で満州に開拓に来ていただけなのです。
まだ若かった母が「男」の格好で危ない場面をいくつもすり抜けてくれたから
私がこうやっているんです……。
今度、この話を
私から母に
してみようかと思っています。

「お母さん、ありがとう」

  

Posted by よっといでん  at 20:34忘れられない体験談